友カフェ・ワークショップ サイドストーリー
- こうがみちこ
- 2016年1月29日
- 読了時間: 4分

2016年2月20日友カフェ・ワークショップは「坐禅から見えてくるもの」というテーマで禅歴42年のネクタイ菩薩、松永大介さんにお話いただく趣向です。主催側として、話の流れを執拗にお聞きしようとしての回答は、「坐禅について宣伝したり、PRする必要はありません。話は法話とか大学の講義のように高尚でもありません」というものでした。それでも、リマインダーをお届けするのは、折角の機会を一人でも多くのメンバーと共有できればという思いからです。日頃、日々の慌しく過ごす私たちには、心を澄まし、今ある命の意味を思い、どう燃焼させていくかに意識を向けることは、計り知れない貴重なアウェアネスをもたらすかもしれません。
松永さんと何本ものメールを交換するなかで気づいたことは、決して、自己主張をなさらない点、習得された体験や知見を自分のフィルターを通して語るということをなさらないことでした。盛んに坐禅の効果、効能という次元で聞き出そうと思うことの浅はかさを、言わずもがなに悟った次第です。ですが、3時間に及ぶワークショップは、お話以外にQ&Aで進みますので、個人的な質問が寄せられるでしょうし、自然に知的興味、個人的問題への何故、どうすればといった質問への手がかりも得られる、或いは、自ら気づくことでしょう。
当方の質問に対して、3つのストーリーを寄せてくださいましたのでご紹介します。こころの滋養になるような「話」や「語り」を耳にする場がなくなりました。かつては、共同体に長や家長が諭すように聞かせてくれたものです。本で知識が得られる時代ですが、読んで何処まで深く咀嚼できるか疑問です。一方、直に聴く話は話し手の人柄、特性に大いに影響されますが、乾いた大地にしみ込む久々の雨のような効果をもたらしてくれます。ことば・こころ塾は、生きたことばの力を交し合う場を目指すわけも、まさにそこにあります。
☆☆☆☆☆
1. 人はなぜ坐禅修行をするのでしょうか? 私の最初の師であった斎藤泰全老師は、若山牧水の短歌「幾山河(いくやまかわ」越えさり行かば 寂しさの はてなむ国ぞ けふも旅ゆく」を引用して、「寂しさの はてなむ国」に行きたいからだ、と仰っていました。この歌を好む向きには、どうせ「寂しさの はてなむ国」などないだろうと思いつつ、おセンチに旅を続けている(もっと酷な言い方をすれば、そういう自分に酔いしれている)イメージがあります。しかし、坐禅では、「寂しさの はてなむ国」が本当にあるからそこに行け、と言うのです。
2. それから、放牛という言葉もあります。おシャカさまがお弟子さん達と歩いていたら、向こうから取り乱した人が走って来たと言います。おシャカさんが一体どうしたのか尋ねたところ、「自分のもっていた牛が何頭か逃げてしまった。大事な自分の財産がどこに行ったか分からないので、探しているのだ。」との答えであり、いなくなった牛を探しに直ぐ遠ざかっていきました。おシャカさんは、「我々はなまじっか牛を持っていないために、あの男のように取り乱す必要がない。しかし、牛でなくても何かこだわってしがみついている対象が自分にないか良く調べてごらんなさい。もし、そういうものがあったなら、その牛を逃がしてしまいなさい。」と弟子たちに教えました。牛を放せば放すほど自由に身軽になり幸せになれるからです。
3. 坐っている時だけが坐禅ではありません。日常生活の真っただ中で自分の心を観察すること、あたかも科学者が顕微鏡で対象を観察するように注意深く観ることも禅です。故人となりましたが、アメリカの禅指導者シャーロット・ベック師は、本当の「優しさ(kindness)」を追求すること、また自分の中に時としてわき上がってくる「怒り(anger)」に敏感になることが手がかりになる、と言っています。「7つの習慣(The Seven Habits of Highly Effective People)」の著者Stephen Covey は、一定の刺激にどのように反応するかは反応者の自由であると述べています。例えば、車を運転して誰かが横からあなたのレーンに入って来た場合を想像してみてください。それに対して瞬間湯沸かし器的にカッカと来るか、「まあ、いいか」と怒らずに入れてあげるか、は貴方しだいと言うわけです。でも本当にそうでしょうか。瞬間湯沸かし器は、刺激即反応になってしまうからこそ瞬間湯沸かし器なのではないでしょうか。これに対して、「あれ、こいつは怒り始めたぞ」と自分を観られたら、もう本気では怒れなくなります。怒りと自分が離れているのです。「怒り」が発生しないのでなく、発生した瞬間に「あっ発生した」と気づくようになるのです。松永大介拝2016年1月26日 17:13
Daisuke Matsunaga <daisukematsunaga51@gmail.com>:
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人、誰にも歴史があります。ドラマといってもよいでしょうが、主人公は自分でなくてよいのです。自分にとって意味深い課題を歴史的観点を通して、現代の兆候や状況を読み解いていこうという設定です。芸術、文学、音楽、食文化、芸能、教育、思想、政治、経済と切り口は多様です。受信者から発信者へ挑戦してみてください♪ 甲賀美智子 1・30・’16
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