チリのサケの養殖事業を巡る実態背景と所感
食の危機に対して3・11以降、私たちの関心はとみに高まった。消化器官を通して、
血となり、骨となる食に関しては、毒を食わば皿までと勇ましくでられない。どうして
も用心深くなるが、あれもこれもダメと言われると、開き直りたくもなる。
水産物を好んで食する国民として、また、恐ろし気なニュースが入ってきた。チリ産
のサケである。南米との接点が深い、安藤さんが、その背景を語ってくれたので、ここ
にご紹介する。こうが
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チリのサケの養殖事業は、当初、日本のJICAが技術を導入しようとしたので
すが、日本の山の傾斜度に比べ、アンデス山系を流れる川の傾斜が急勾配で、
卵からかえったサケの稚魚を放流後、海からサケが戻って、産卵するため川
遡上するためには傾斜がきつくて、遡上できずにプロジェクトは失敗となりました。
しかし、米国水産会社の資本が入り、川を遡上させずに、海に巨大な生簀を作り
サケの海洋養殖が始まり、大成功となったと聞いたことがあります。
しかし、15年以上も前だったか、チリから貝類養殖事業の研修に来たJICA研修員
たちから、養殖されるサケの網生簀から大量の 餌や糞の残滓が海底に沈殿し、
海低生物の環境が汚染され、貝類養殖事業者(貧しい漁業従事者が多い)の生産
に悪影響がでているとの不満の声がありました。
チリのサケ養殖による環境被害は事実だと思います。
確かに、サケに限らず水産養殖事業自体が、様々な問題を抱えております。
日本では、養殖事業の法的規制が定められていますが、養殖事業自体がマイナー
な取り組みがされている海外では、さまざまな問題が起きていると聞きます。
またチリの漁業従事者は比較的低所得者が多く、大資本のサケ養殖業者への
抗議運動などは、昔は出来ない状況下にありました。
現政権(名前忘れましたが女性のラディカルな大統領) となって、サケ養殖大資本
への抗議運動が出来るようになったことは、嬉しい社会的変化だと思います。
唯、チリ産のサケを地元の人が食べないのではなく、中南米の人たちは魚介類
はあまり食べないので、地元の人が食べない理由が即、環境問題につながるのか、
結びつきは難しい問題です。他の南米諸国と比べると、チリ人は魚介類を食べる方
ですが、しかし、漁業分野の研修員たちも食事となると、魚介類よりマックのハンバーガー
を好んで食べてました。
また、福島原発の汚染水を垂れ流している日本として、環境汚染だとの海外の抗議
の声を聞くことも大切だと思います。計測値は低レベルで汚染被害は無いと東電 は
ずっと言い続けてきました、作業員たちの被爆による健康被害の実態が隠され続け
ている状態で、汚染は風評被害だと決めつける論に、私は納得できません。
安藤 二葉 5・28・’16